その男、危険。

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ふわふわと酔いが回ってきた私の隣にも、同期のコウキが座っていた。 明るい茶髪を綺麗にワックスで整えており、顔もかっこいい彼はサークル内でも結構人気がある。 「なぁ翠すい、この後どうすんの?」 「んー二次会行こうかなぁ」 肩を組んでくる彼の手をさりげなく離そうとすると、ぐいっと引き寄せられてしまった。 「…俺んち、来ない?」 耳元で囁かれて、びくっと震えそうになるのを、必死で堪えた。 あぁまずい、こういうの苦手なのに… 「俺、椎名より断然、翠派なんだよね。可愛いし、凛としてて強い子、俺好きなんだ」 噂通り、すごくチャラい。 椎名とは、私の双子の妹のこと。  こういう風に私派だの椎名派だと言われるのは高校からだ。 緩くパーマのかかったキャラメルブラウンの髪色で、ふわふわしてて守ってあげたくなるような、癒し系の椎名。 明るい髪色にメッシュの入ったボブヘアーで、椎名のお世話役。しっかり者で強気な性格の私。 今ではタイプの違う私たちを見分けられない人はいなくなった代わりに、双子だと分かると、どっち派かと言われることも増えた。 そう言われていることは、椎名はあんまり知らないようだけど。
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