家族には言えないや

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家族には言えないや

「お兄ちゃん、大丈夫?隆太がなんか心配してたから。」 家に帰ると顔を合わせるなり、そんな風に心配された。母さんにそっくりな僕の妹はその性格までそっくりだ。お節介で騒がしくて、ちょっとありがた迷惑だけど僕にはすごく優しい。 うちは女性の方が立場が上だ。僕も父さんも、家ではすっかり骨抜きだ。 父さんはいつもそれを偉そうに言う。 『男はな、女の尻に敷かれるくらいがちょうどいいんだ。』って。 何を決めるにも、うちは母さんや妹の意見が優先される。父さんと僕は、そうだね、が口癖。 最近は隆太も、それに影響されてうちでは聞き分けのいい飼い犬みたいだ。 そんは父さんも隆太も、なんだかすごく幸せそうな顔してる。だからそれはそれでいいんだと僕は思う。 「あんたも早く好い人見つけてきなさいよ。」 母さんにそう言われてギクっとなる。ゴメンね、母さん。僕はきっと、一生、好い人なんか連れてこれないよ。 だって、僕は女の子は好きじゃない。 こんなこと、家族には言えないや。 今は例のあの彼のことが気になってる。あの、エロティックな唇の彼…。
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