その唇…

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その唇…

「え!?」 「好きでいちゃいけないんだ、もう。隆太は僕の妹の彼氏になったから…。」 「はー。そう言うことか。ふーん。」 「でも、なんでそんなこと聞くんだよ。」 「ふーん、そっか。じゃあ、いいんだ。」 ほらほら、また。あの唇がピクリと片方の口角を上げてエロティックに、笑う。僕の視線はもう、彼のその唇に釘付けになる。 「いいって…?なに…が…?」 「俺がハルを好きになっても。」 「へ?」 「実はバイなんだよね、俺」 僕の目の前でいま、奇跡が起きてる? これは夢ですか? 「だからさ。俺にしない?」 何ですか?この展開…。 「へ?」 「だから。ハルの好きな人、俺にしない?」 みるみるうちに真っ赤になってくのが自分でもわかる。 「うそ…。」 「うそじゃねぇよ。嫌いじゃねぇよな?俺のこと。いつも俺のこと見てるし。」 「あ、いや…。」 なんでバレてるんだよ… 「え?違った?俺の勘違いだった?」 「いや…。あの…」 あー。もう、今すぐここから去りたい。 「ほら、顔真っ赤じゃん。」 「えっと…。その…」 僕は今、なんて答えたらいいんでしょうか、あぁ神様… 「決まりな?俺、今日からハルの彼氏。返事は?」 彼が僕をじっと見てくる。真剣な顔が怖いくらいに整ってる。その真っ直ぐこっちを見てるその顔があまりにも素敵すぎて思わず言葉を失った。 すると少しイライラした彼がいきなり凄い勢いで立ち上がった。 テーブルを挟んで向かい合わせに座っていた僕の前の彼がいきなり立ち上がったからガタンと椅子とテーブルの凄い音がして僕は思わずビクっとなった。
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