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そいつはそそっかしくて危なっかしくて、ドジなやつだ。おれが知る限り、もう二度もここの食堂でトレーを運びながら上のグラスの飲み物をひっくり返している。
こう見えて俺も実は結構そそっかしくてドジなところがある。だけど、自分で言うのもなんだけど、このクールな顔だから、ついカッコつけて誤魔化す癖がついた。
それに比べてアイツときたら。
お笑いのコントかよ、って思わず突っ込みたくなるほど、落ちが完璧だ。
あの有名な三人お笑いトリオのコントみたいに、想像通りのところでやらかしてくるのがなんとも爽快だ。あそこまで振りきれると逆に清々しい。
というか、ああやって素直に誤魔化すこと無くドジな自分をさらけ出せるアイツが正直羨ましい。
媚びない可愛さとか、愛嬌で乗りきれる人懐っこさとか。俺には無いものだから、かな…。
だから。気がついたら俺の方がいつもアイツを目で追っかけて見るようになってた。
今日はアイツ、俺のことを見てるだろうか。って。
そのうちアイツの隣の奴までどうも気になり出した。
そういえば、いつも隣にいるよな。なにげに庇ってやったり、手助けしてやってる。アイツの方はそんな隣の彼に甘えてばかりだし、時々恥ずかしくて見てられないくらい密着して、とにかくスキンシップがハンパない。
隣の彼にあんな風に腕なんか組んじゃって。ほらまた、彼の肩に顔を寄せたりしちゃって。
お前ら、どんな仲なんだ?
俺の妄想が膨らむ…。
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