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そんな僕に噂の人、アキヒロ君が突然、近づいてきた。だから、隆太はもう、ここんところ大騒ぎだ。
人気者のアキヒロ君は女の子達に『アキくん』なんて親しげに呼ばれてる。
この間まで彼女だった女の子は去年の大学の文化祭で開催されたミスコンの準ミスだった子だ。なのに別れたって噂になった。その後の彼女なんか、モデル事務所に所属してるかわいいこだったのに。また先月その子とも別れたって噂になった。
彼の色恋沙汰の噂はいつも絶えない。
そんな素敵な彼を僕はいつも遠くから静かに見ていた。本当にただ見てただけ。
まあ、目の保養?みたいな?
あの彼が僕なんかに気を留めるはずがないし。そもそも僕たちに接点がない。
学部も違うし。
だから唯一顔をみれるのはお昼の学食の時だけ。
いつも学食に行く僕にはいつもお気に入りの場所があった。
窓際の日当たりがよくて庭も見渡せる気持ちいい場所。そして何より。
いつもの彼が必ずあの席に座るから。そこから彼がよく見える。
だから僕はいつも親友の隆太を誘って学食にいき、その席で食べるのが習慣になってた。
イケメンの彼の顔が好き。
そしてあの、凄く綺麗なカーブを描く唇のライン。くいっと片方上げて笑う時のあの色っぽい口元が好き。
だけど彼とは話したこともないし、これからもきっと話すことなんか無い。話すきっかけも理由もないし共通の話題なんかもっと無い。
ただ、こうして毎日彼の顔をみて、彼の視界の隅に、すこしだけでもはいれればそれでいい。
そのはずだった…
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