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僕の秘密
そんな僕には人に言えない秘密がある。
実は男が好きだってこと。
僕の周りの人たちにも、一番仲良しの隆太にも妹の環奈にも、もちろん親にも秘密にしてる。
何を隠そう、僕は最初、隆太が好きだったんだから。友達なんかじゃなく恋愛対象として。
環奈が目当てで近づいてきたとも知らずに僕は舞い上がってた。
ついに僕にも春が!って。
あっという間にその思いは潰えた。
まあ、環奈が幸せになれるんなら、それもよしだ。隆太と義理の兄弟になれるなら、友達よりも遥かに親しい関係になれるわけだし。それは多分、この先一生保証されてる関係だ。
ま。それもアリかな。隆太を独占したい気持ちばかりが先にたつけれど。こうして僕は恋愛とは別の形で隆太を独占できる立場になった。
僕の恋はそうして恋になる前に終わりを告げた。
妹の彼氏なんかに手を出せないしな。ライバルが妹なんて、あり得ない。
そんなわけで僕はこうして心置きなく妹の彼氏の隆太を独占し、何の気兼ねもなく側にいられるようになったった。
だって僕は隆太の好きな人の兄なんだから。
時々、こうしていつも側にいると好きすぎて苦しくなることもあるけどそれでも僕を家族みたいに大事にしてくれるから、それでいいんだってことにしておく。
隆太に対する僕のこの感情は家族的な愛情だ。
そう自分に何度も言い聞かせる。
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