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「彼氏にするなら絶対に強い男がいい」
「そりゃまた、なんで」
別に強くなくたって、自分に優しい男でも良くないか。
藤代さんならモテるだろうし、親切にしてくれる奴なんていくらでも居るだろう。
「常に守られたいの! 1番強い男にね」
なんだそりゃ。意味わかんない。
女の子だから、守られたいってことか。
「でね、1番強いかなってスグルに声かけてみたんだ。けど、違った」
わざわざ自分からスグルに声をかけたのか。それで目をつけられたんなら、自業自得じゃないか。
「スグルの周りに居る女が言ってたんだよ、ハルキって男も強いって。で色々リサーチしたら君が1番強いってことが分かった」
ほおづえをつきながら、にっこりと笑う藤代さん。
その愛らしい姿に、こちらはニヤけてしまいそうになる。なんとか顔がおかしくならないように真面目な表情を作った。
「あたしはどうしても、世の中で1番強い奴を彼氏にしたい。でもスグルはダメ。声をかけたから、目をつけられちゃったけどね」
「それってさ、藤代さ……」
藤代さんの撒いた種なんじゃないの。
言いかけたようとした瞬間。
彼女の綺麗な指が僕の唇に触れた。
「ケチャップついてるよ」
唇に触れられて、僕の心臓は跳ねたリズムを刻んでる。
バーガーと一緒に付いていた紙に、指のケチャップを拭うのかと思った。
けど藤代さんはその指を自分の口に持っていき、ペロリと舐めた。
なんてことをしてるんだ!
僕はたまらなく恥ずかしくなった。
だって、その一連の仕草が何だかエロティックに見えたから。
慌ててピンクになりそうな脳内をかき消した。
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