第一章./閑話

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 さすがの世間知らずで無知な私でも汲みとれる、  立場上、カーフェイさんはきっと、  表向き単独で出歩くのすらリスクが伴うんだろうな、という事くらい。  詳しい内部事情を把握しているワケじゃないから何とも言えないものの、  ────…もともと、カーフェイさんの直属の側近というのが、  アーウェイさんの他に実はもう一人、  あの人の右腕として名の知れた(────らしい。アーウェイさん曰く)万能な相棒がいるとのことだった。  ただ、その"もう一人の側近"の彼の話は、  早々に断ち切られてしまったケド。  現在はヨーロッパのほうに身を置き、拠点としているのだとか。  (……カーフェイさん、が割と自由人だから、身ひとつの自分だけじゃ苦労させられる。とか何とか  延々と口酸っぱく総攻撃してたな。  当のカーフェイさんは全く、意に介してなかったけど)  当然ながら、たぶん、私には計り知れない、一般人とは縁遠い職業柄で。  そして  その並外れた彼らの容姿も作用していることからどうしたって、人目の注目は  集まってしまうもの。  ・・・・・・・・そこは、  仕方ないにしても。  私との逢瀬の度にだって、  常に、リムジン内でも外でも、黒服の護衛さんたちが見張りをし。  黒光りする高級車が数台、  私に見えないところで張り付いていることも実は、  …知っていた、  それほどまでにあの人は上層部の地位にいて。  そして、誰彼構わずに狙われてしまう偉大者であるのだ。ということも、  ・・・・・知ってる、  わかってる、  虚ろで、曖昧で、未解明な私とカーフェイさんたちの間で意味をもたない、(もたら)すことすら躊躇してしまう  今の、関係性。  それ以上の境界線(ボーダーライン)を踏み切る勇気は・・・・・・、  ・・・・今の私には無い
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