第一章./閑話

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 スマホを差し出して(のち)、すぐ、距離間を測れるよう、半歩下がった。  男は私からスマートフォンを受け取ると、流暢(りゅうちょう)な英語で  アーウェイさんと話し出したので。  その隙に私は目配せで、  隣にいた母さんに  「どうしたの」と声を潜め状況把握を試みた。  母さんはそんな私に小声で、  「あぁ、  …『伊万里をお預かりさせて頂いてます』って。わざわざ伝えに来られたそうよ」と。  あまりにサッパリ、淡々と。  事も無げに言ってのけたものだから、内心、母さんのその落ち着きっぷりには  私のほうが  度肝を抜かれてしまいそうになったが、  (…なにせ、この普通の住宅街には  不釣り合いであるから)  ・・・・・・でも、  一応は彼らも電話した。って言ってたし。  それほど大袈裟に取り立てて問題が起きてる感じでもなかったか・・・・・、と。  ひとまず、肩の荷を下ろせる事に  ホ、と安堵した。
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