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そうして、すこし、冷静を取り戻せば狭まっていた視野が次第にひろがり、落ち着きを飼い慣らし。
その落ち着きで、ふと感じる、こちらに突き刺さってくるような視線と、気配。
そちらにコチラも視線を移していけば、電話している男とはべつの、もう一方の
黒服の男性が凝視するように私のことを見つめていて。
現状、アーウェイさんと電話している彼よりは、歳のほどは上の、
『壮年の男性』と言う表現が、いちばんしっくりくる。
スキンヘッドの様相でありながらどこか下手に感じとれる
所作と立ち居振る舞い。
(……このひとのほうが、
年嵩に見えるのに。いや…考えすぎ、か)
悪意があれば何となしに
直感でわかるものだけれど、この男性からは悪意と言うよりは、
(……怪訝?に近い気が、)
一旦、目を宙に泳がせて。
黙考し、そう独断した私はもう一度チラ、とその男を見遣るべく
双眼をグルり、動かした────…、
その────…矢先だ。
(…………っ、
…………………………え、)
────、ふと、凝視してくる彼にだけ視線を固定しようとしたのに
それは失敗に終わる。
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