第一章./閑話

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 映り込んだ目の端の、"人影"に、────…咄嗟に感情が揺れ動いてしまった。  視覚も時に、余計なものを拾い上げる。  要らぬ情報が視覚から自らを脅かしにかかるみたいに、、、。  ────さっきまで、は全面フルスモークで車内は窺えなかった。  それが現状、半分まで下げられている後部座席側の、フルスモーク車窓。  そこから姿を見せた、  車窓越しにこちらを静観してくる女性の存在。  (………………ダ、レ………?)  ・・・・・・秘書?  財閥の御令嬢さん・・・・・?  いや・・・・、  そもそもカーフェイさんたちの正式な職業すら、  私、・・・・・知らない、し。  「────、Yes, understood.  ……お嬢、」  「────っぇ、…あっ。  は、はぃ」  車内にいた淑やかな女性に、気を取られていた私は、  「お返し致します」────そうかけられた黒服の低い声に我に返り。  男性の手から差し出された自分のスマートフォンを  低頭しつつ受け取ると再度、耳に当てる。  『あー…、悪ィ。お前ぇが帰宅するまでを見届ける手筈だったのうっかり、忘れちまっててな。いま引き上げるよう指示出しといたからべつに問題はねェーよ』  「………………ぁ、あ、うん。そっ、か」  『…あンだ、何かされたのか』  「いっ、いや。何も、」  それなら、いい。  問題無かったら、べつに私が気にすることじゃない、  ・・・・・・けど。  「────では。これで失礼致します」  「あっ、は、はぃ。ありがとうございます」  「ありがとうございました」  スキンヘッドの彼らの挨拶に、私と母さんも一度だけ低頭して、挨拶を交わす。  私はまだスマホを耳に当てたまま、通話先も繋がりもった状態で『────オイもう切ンぞ』と。  電話先から聞こえてくるアーウェイさんの苛々声にすら  応じられない状態で身を、固くしていた。  とりもなおさず直立不動で、  彼らが黒塗りの高級車に乗り込んでいく姿を訝しく、見定めいく。
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