158人が本棚に入れています
本棚に追加
背後で、柊吾があからさまなため息をつく。
「お前さ、大学生になってから彼氏何人目?」
「……9? あれ、10……?」
「12だボケ。そろそろ諦めろっての。浮気はやっぱ無理って12回も振られてんだろ」
正論に近い柊吾の発言に、灯は口を閉じた。
別に灯は彼氏なんぞ欲しくない。求められたから条件を伝えて付き合ってるだけ。それのなにが悪いのか。
あまりよくわかっていない灯は、良くも悪くも入学当初から目立ち、今では〝クズの見本市〟に名を連ねられている。
大変不名誉だが、自由に生きすぎていることは灯も多少自覚しているので、甘んじてクズの称号を受け入れているのが現状だ。
「最長で1ヶ月、最短で3日」
「柊吾きらい」
「俺はクズな初音ちゃんわりと好きよ?」
「私はきらーい」
「はは、うぜ。犯してやろーかな」
「穂乃果、この男通報して」
「似た者同士じゃん。ふたりがくっつけば?」
「「むり」」
柊吾と灯の嫌そうな声が重なる。
妖精のように愛らしいと評判の灯に劣らず、柊吾も派手な容姿の持ち主だ。高身長で目鼻立ちがしっかりしてる。誰がどうみても女誑しの遊び人。
講義が終わり、レジュメを小さくたたんだ灯は、短い一文を今の彼氏へと送信した。
最初のコメントを投稿しよう!