step.01

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 背後で、柊吾があからさまなため息をつく。 「お前さ、大学生になってから彼氏何人目?」 「……9? あれ、10……?」 「12だボケ。そろそろ諦めろっての。浮気はやっぱ無理って12回も振られてんだろ」  正論に近い柊吾の発言に、灯は口を閉じた。  別に灯は彼氏なんぞ欲しくない。求められたから条件を伝えて付き合ってるだけ。それのなにが悪いのか。  あまりよくわかっていない灯は、良くも悪くも入学当初から目立ち、今では〝クズの見本市〟に名を連ねられている。  大変不名誉だが、自由に生きすぎていることは灯も多少自覚しているので、甘んじてクズの称号を受け入れているのが現状だ。 「最長で1ヶ月、最短で3日」 「柊吾きらい」 「俺はクズな初音ちゃんわりと好きよ?」 「私はきらーい」 「はは、うぜ。犯してやろーかな」 「穂乃果、この男通報して」 「似た者同士じゃん。ふたりがくっつけば?」 「「むり」」  柊吾と灯の嫌そうな声が重なる。  妖精のように愛らしいと評判の灯に劣らず、柊吾も派手な容姿の持ち主だ。高身長で目鼻立ちがしっかりしてる。誰がどうみても女誑しの遊び人。  講義が終わり、レジュメを小さくたたんだ灯は、短い一文を今の彼氏へと送信した。
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