step.05

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 裏口まで戻って、マスターに助けてもらうか。じりじり近寄ってくる2人の男を前に、灯は迷う。  だが、意外と逃げ切れるのでは──、と安易に後ずさったのが良くなかった。  ばしん、衝撃で頭が揺れる。 「……痛いんだけど」 「私だって、あんたのクズな友だちに殴られたんだからおあいこでしょ」 「男女の差ってものがあると思うよ」  逃げようとしたことを勘づかれたのか、すぐに灯は腕を掴まれて、もう1人の方に頬を殴られた。  多少、力の加減はしてもらえたようだけど、口の中に血の味が広がってきもちわるい。 「乱暴にすんの興奮するわ〜」 「(……変な趣味を持ってるやつ多すぎ)」  聞いてもないのに、ペラペラと話す男。  雑に灯をフェンスに押し付けた男は、支配欲や征服欲が強い方なのだろう。興奮したようにもう1人の男に話しかけている。  自由にやらかしたツケが回ってきた、と灯は諦めかけるも、脳裏に浮かぶのは紫苑の悲しそうな顔。 「──……っ、触んないで!」  次の瞬間、灯は抵抗していた。  急に態度を変えた灯に戸惑う男たちを前に、「誰か助けて!」と灯は叫ぶ。  そして、 「誰かじゃなくて俺の名前呼べっての」  クズな友人──柊吾が、男を吹っ飛ばした。
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