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押さえつけられていた身体が軽くなる。
灯が驚いてる合間に、柊吾はもう1人の男を殴り倒して、ついでと言わんばかりに、ストーカー鈴木も小突いて気絶させた。
「男女平等だろ」
「……ころしてないよね」
「あ? 手加減したわ」
ヒーローにしては、少々治安が悪い。
呆然と立ち尽くしている灯に近寄った柊吾は、なぜか申し訳なさげに眉を下げて「遅くなって悪かった」と謝る。
柊吾に非はないので灯は首を傾けると、殴られて赤くなってるだろう頬を、指先でするりと撫でられた。
「──あ、いた! りぃちゃーん!」
「え、なんで結兎まで」
で、柊吾と灯の妙な空気感をぶち破って登場した結兎は「俺が殴る分も残せや!」といきなりキレる。
なんで一緒にいるの? という疑問を、目だけで柊吾に訴えかけると、渋々答えをくれた。
「クソうさぎと計画練ってたら、この前写真で見たツインテールの女がいたから、嫌な予感して追ったんだわ。だけど途中でクソうさぎ関係の雑魚が絡んできたせいで見失って……」
「俺が喧嘩売られてる間に、自分だけ後追ってカッコつけてんだよ? マジで性格悪ぃの〜」
「……うん、大体は把握した。助けてくれてありがとう」
悪巧みをしてる最中の偶然だろう。
でも、間一髪で助けてもらったことに変わりはない。
感謝を口にした灯は、安堵で力が抜けた。
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