step.05

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「きもちいーね、キス」  満足するまでキスをした灯は、にこにこと大満足な笑顔を浮かべる紫苑の頭を撫でてあげる。 「俺たちって、両思いの恋人同士……?」 「そうだね」 「やきもち妬いても我慢しなくていいの? 俺のものって牽制してもいい?」 「ん、どうぞ」 「す、すごい……! 幸せ……!」  すりすりと頬を寄せてくる紫苑が可愛すぎて参る。  嬉しくて感極まったのか、また子どもみたいに泣き出した紫苑を、今度は灯が抱きしめた。  通りすがりの親子に目撃され「ママー! みて! ラブラブ!」「あらまぁ」「男の子ね! 泣いてた!」と会話のネタにされてるけど、まあいいとしよう。 「他の人と、キスしないで」 「しないよ」 「俺以外に身体、許さないで」 「もちろん」 「合鍵、もらってほしいな」 「ふはっ、かわいいね」 「……大好きだよ、灯ちゃん」  これまで耐えて我慢してきた反動からか、目が合う度に「好き、大好き」と紫苑は破顔して伝えてくる。  なんでも許してしまいそう、と紫苑と手を繋ぎながら歩く灯は思った。 「──あ、クズ卒業だ」 「おめでとう」 「紫苑くんも、今日私で卒業しようね」 「エッ」  7月の別名、愛逢月。  世にも数奇なバカップルが、爆誕したのだった。
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