step.06

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 彼氏の兄。つまり義理の兄になるかもしれない人。  クズを卒業した灯は、紫苑のためにも失礼な真似はできないと、覚悟を決めて立ち上がった。 「私が鍵開けるよ。ついでに挨拶もする」 「えっ、ちょっとまって!」 「大丈夫、心配しないで。紫苑くんはまだ動けないでしょ、そこで寝てて」 「で、でも……!」  普段、カルガモみたいに後を追ってくる紫苑は、灯と離れるのが耐えられないらしく、家の中でもどこでもくっついて追ってくる。だが今は動けない。  それに。なんとなく、なんとなくだが、灯は紫苑の兄がブラコンなのではないかと思っている。  この予想が当たってるなら、第一印象は大事だ。  鏡で変なところがないか確認し、灯は髪を手櫛で整える。 「や、やっぱり、帰ってもらわない?兄さんも、驚くと思うし……」 「もう部屋の前まで来てるっぽいしむりでしょ。いってきます」 「う、ん……」  慌ててる紫苑の頭を撫で、キスでパワーをチャージして、いざ尋常に。  玄関先に向かった灯は鍵を開け、視線を上げ──、 「え?」 「は?」 「……君が、なぜこの部屋にいる」 「……うそっていって……」  悪魔のような美しい男を前に、最悪だと頭を抱えた。
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