step.06

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 意味深に言うのはわざとなのだろうか。  無表情の蘇芳を前に、灯はうんざりしたきもちで首を横に振った。 「……ふ、修羅場になるな」  綺麗に片方だけ口角を上げた蘇芳。  どうみても、あのピュアな紫苑の兄とは思えない。弁護士だからかは知らないが、蘇芳はどちらかというと近寄り難い冷たいイメージを周りに与える人だ。 「俺との関係は、秘密にしておくか?」 「ばれたときに拗れます」 「……なんだ。あいつに本気なのか」 「クズを卒業するくらいには」 「それは妬けるな」  うそをつけ、と灯はジト目を蘇芳にぶつけた。 「(さて、どう伝えるべきか……)」  ──蘇芳と関係を持っていたのは1年前のこと。  高校卒業後、灯は年齢を偽ってキャバ嬢なるものをしていた。そこで上司に連れてこられて虚無になっていた蘇芳と出会い、なんだかんだ関係を持った。  正直、身体の相性という点では、蘇芳がぶっちぎりでナンバーワン。  お互いズブズブにはまって、週1のペースで会っていた。  ようは、元セフレだ。 「はー……、最悪の再会……」  関係が切れてるとはいえ、紫苑をどうやっても傷つけてしまう最悪の事態に、灯は天を仰いだ。
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