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午前の講義を受け、昼時のカフェテリア。
同じ商学部で入学当初から仲がいい清水 那夢とご飯を食べていると、彼女の幼馴染兼恋人の戌井 涼と友人の榴禾がやってきた。
「遅いから食べてた」
「ひでぇ〜! 那夢も美愛もせっかちだな〜」
「暑ぐるしい離れて」
「俺、彼氏なのに! 冷たくね!?」
「喧しい。早く座れ」
仲が良くて、よろしい。
研いだナイフよりも鋭いクーデレの那夢と、どこか狛犬っぽい見た目のノンデリな涼。当たり前のように2人は隣同士で座る。
そして、自分の隣に座ってきた友人―――榴禾、を横目に、私はオムライスをスプーンで掬って食べた。
ちなみに、涼と榴禾は心理学部だ。
「今朝のこと、話題になってたよ」
「……? 身に覚えがない」
「皇のグループと接触したんじゃないの」
ああ、朝のことか。
年がら年中、不健康そうな榴禾に視線を流す。耳朶の沢山のピアスは、まるで夜空に並ぶ星たちのよう。
黄色のオムライスをスプーンで掬えば、榴禾は極々自然に私の手首を掴み、自分の口元に誘導してぱくりと食べた。
……泥棒である。
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