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Lv1 ▷ ふむふむ
鏡の前、三つに分けた髪を編んでいく。
流行りのゆるふわじゃなく、何がなんでも解けないようなキツイ結び方。固く編んだ髪に、可愛らしさはない。完全に浮いている。
身支度が終わり、洗面台からリビングへと向かうとダイニングテーブルに書き置きのメモが残されていた。
──〝早く帰る約束、守れなくてごめんね。生姜焼き、美味しかった。ありがとう。〟
毎回、律儀に手書きで言わなくても大丈夫なのに。
親代わりの姉からのメッセージを、私は丁寧に折り畳んで自室に持っていく。机の引き出しにある大きめの箱の蓋を開けて、同じような小さなメモ書きが溢れる中に、今日の分もしまった。
「パン、食べよ」
私が寝て起きる間に、姉は仕事に行ってしまったのだろう。姉とのトーク画面を開き、〈おはよう〉と連絡するついでにパンを食らう自撮りを送った。
もぐもぐと焼いたパンを咀嚼していると、通知音が鳴る。姉からの返信かとスマホの画面を見れば、大学の友人からだった。
〈今日そっち何限から?〉
〈に〉
〈了解。これ今日のへそピ〉
〈いらない〉
まったく、変な友人だ。
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