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割り込めない空気感。しかも会話盗み聞き。
しかし、追い越そうかと悩んでる間にも亜未くんの友達たちがわらわらと集まってきてしまった。1年生にしては目立ちすぎている。非常に喧しい。
紛れもなく、陽キャの集団だ。
「柊吾くんおはよーす! 亜未も!」
「まだ酒臭いね〜。先輩たち何時まで飲んでたの?」
「朝方。お前ら1年は元気ね」
「元気だけと喧しさが取り柄なんで!」
あ、喧しさは自覚済みのようで。
背後霊のように後ろを着いていく私は、陽キャ一軍のくせして、どこか澄まして達観してる亜未くんの背を注意深く観察する。
亜未くんという人物は、実に不思議だ。
「(どこにいても馴染むくせに、どこにいても自分の居場所じゃなさそう)」
彼みたいな人は、いつの時代も一目置かれる。
煩くて目立つ集団は、陰を纏う人間から嫌われるものだけど、亜未くんだけは違うのだ。異彩を放っていて魅力的に感じる。気がついたときには、目で追ってしまっていて彼の虜。
どの層にも一定の人気があるタイプで、普段は同じ一軍ですみたいな顔してる女子に囲まれてるけど、本人は特定の女の子をつくらない。
適度に遊んでるっぽいけれど、本命がいる気配はないからまたミステリアスで気になる。
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