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「……」
「……」
「……」
「……え、今年の1年まじなに? こわ」
暫しの沈黙。
大袈裟に困惑を滲ませた3年生の先輩が、何に脅えたのか後ずさる。名前……柊吾先輩だったっけ?
「猫耳です」
「……あ、うん。見たらわかるけど」
ピンク色の猫耳のカチューシャ。
全員、不可解だといった表情で首を傾げていて、珍獣でも見てるような眼差しだ。
「つけますか?」
「丁重にお断りするわ」
「では、そこの、どなたか存じませんが」
「い、いらねー!」
「遠慮せず、どうぞ」
「うっお!? 顔に似合わずクソ強引!!」
亜未くんにつけようか迷ったけど、嫌われるのも困るので隣にいた亜未くんの友人C(紫の髪の人)に猫耳を装着させる。
周りの友人たちは、自分が被害に遭わなかったからと大爆笑しながら猫耳男の写真を撮りはじめた。
「今日の美愛ちゃんも摩訶不思議だね」
「ほめてますか?」
「面白くていーよ。ね、柊吾くん」
「俺に話を振らないでくんね? 中身がクレイジーな奴はもうこりごり。あいつらで間に合ってんだわ」
私、そんなクレイジーじゃないですよ。
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