出会い

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社員は各売り場に一人ずつ、青果、精肉、鮮魚、その他は数人の社員が分担していた。 青果はベテランの再雇用、鮮魚は市場で引き抜いた中途採用、そして精肉のマサミチ。 営業とか、商社とか、そういったホワイトカラー的な方が似合いそうな風貌のマサミチだが、実際は毎日大きな肉の塊をいろいろな形の刃物で切り分けたり、骨を叩き割ったりしている。 あの軽い口調の彼からはあまり想像ができない。 バックルームへ入る時に売り場から見える窓の中で、大きな赤い肉の塊から白い筋を切り取っている姿を見た。 帽子やマスクで覆われていたが、唯一見えた目が、ギラギラと光っていてとても印象に残っている。 「なぜお肉屋さんなんですか」 気になって聞いたことがある。
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