サレた二人

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サレた二人

「徳永さん、おはよう」 少しつかれた様子のマサミチが話しかけてきた。 私は首を降るくらいしかできない。 「うちも、話をしたあと出てっちゃったんだ」 朝のすれ違いざまに、重い重い、昨夜の二人の話をものの数秒で終えた。 マサミチはいつも通りの軽さで仕事をしていたが、精肉ブースの前を通ったときに交わした視線はいつも以上に鋭かった。 息が、止まるかと思うほど、鋭かった。 休憩時間になり、バックルームで向かい合う。 「連絡取れなくて。既読もつかないし…」 「……俺、怒鳴っちゃって、だから……」 「うちは、怒鳴りたくても帰って来ませんでした…」 明日、捜索願を出しに行くことにした。 しかしその夜、警察から電話があった。 市境の河原で車が乗り捨てられていたらしい。 ダッシュボードの中にあった車関係の書類から、自宅の電話に連絡をくれたようだ。
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