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ずるいです。
恋を忘れるには次の恋。
とは本当にこのことで、すっかり元カレのことはどうでも良くなった私は、どうすれば祥太郎さんとお近づきになれるのかと必死だった。
だけどSNSをやっていないと言っていた彼のことをよく知る方法は皆無で、今のところ接点は週に一回一緒になる金曜日の講義のみ。
ようやくその日がやってきて、講義室に入ると
いつものように周囲がざわつく。
「あ…sanaちゃん」
「今日も可愛い〜」
同じ学部の方たちは私がいることには慣れているからそこまで大袈裟に騒がれないけど、やっぱり注目を浴びる。
キョロキョロと彼の姿を探した。
すると例の友人と一緒に1番後ろの席にいるのを見つけて、急いで近付いて行く。
「祥太郎さんっ」
声をかけると、目が飛び出るほど驚いた顔をしている隣の友人Aさん。
それに対して、かなり遅れて私を見るお目当ての彼。
「…えーっと」
「はい!sanaです!」
「…サナ?隣座んの?」
「いいんですか?!」
「いいけど」
そう言って、教材や筆箱を少し寄せてくれる祥太郎さん。優しい。
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