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てっきり、サワさんと3人で学食に行くものだと思っていたのに。
用があると言って残念そうに手を振って帰って行ったサワさん。
必然的に祥太郎さんと2人きりになり、学食のテーブルに向かい合わせで座り、一緒に食事をしているわけなんだけど…
「………」
緊張で箸が進まない。
沈黙が気になり、何か話した方がいいのかと向かい側をちらりと見る。
「食わねぇの?」
もぐもぐしながら普通に聞いてくる祥太郎さん。
「たっ、食べますっ」
言っている間も、祥太郎さんのトレイいっぱいに乗っているお皿からは、すごいスピードで料理が消えていく。
カレーとラーメンって、どういう組み合わせなんですか…
プラス唐揚げとエビフライって…よく太らないなぁ…
感心しながら、ちまちまと冷奴を食べる。他にはサラダと、おにぎり1個とお味噌汁を取ってきた。
「そんなんで腹いっぱいになんの?」
「なりますよ」
「へぇ…胃袋ちっさ。倒れそう」
そう言う祥太郎さんは、いつのまにかすべて完食していてギョッとした。
水を飲みながら、まだ食べている私のことを見ている。
待たせるわけにいかないと思って急いで食べようとすると、祥太郎さんがなんてことないように言った。
「ゆっくり食えばいいよ。慣れてるから」
「え…?」
「俺食うの早すぎてさ。誰と飯行ってもだいたい待ってる」
「で、ですよね。早すぎてびっくりしました…」
本音を漏らすと、ははっと少年みたいな顔で笑う祥太郎さん。
か、か、可愛い…っ
この間も思ったけど、裏がない、無邪気な顔で笑う人だ。
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