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もぐもぐしながら相変わらず携帯もいじらず私の方を見ている祥太郎さん。
…こういう時って、ずっとじゃないにしても、誰でも少しは携帯を触るもの。
連絡を返したり、SNSを何の気なしに見たり…
でも祥太郎さんには一切それがない。
…普段から全然携帯触らないんだろうな。
そもそも持ってる?と思うくらい、彼がそれを取り出しているのを見たことがない。
「あの、」
連絡先を聞くなら今かも、と思って勇気を出して口を開いた。
その瞬間、少し離れたところでカシャッと音が聞こえて、思わずそちらを見る。
「あ、やばっ」
そう言って携帯をテーブルの下に隠す、顔も知らないその人。
その周りも何人か携帯を手に持っていて、何をされていたのかすぐに分かる。
…またか…
勝手に写真を撮られるなんて日常茶飯事だから、別に驚かない。
ただ気分がいいものではなくて、目を伏せてため息をつく。
注意してもキリがないし、いつも見て見ぬふり。
この時もそうするつもりだった。
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