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「それ、普通に盗撮だよな」
目の前の彼が、通る声で写真を撮っていた彼女らに言う。
驚いて、目を見開いた。
「たとえ有名人でも、人権侵害だと思うけど」
「ぇ、あ…すいません…」
「いや俺に謝られても困る」
怒っている、というわけでもなく、淡々と言葉を続ける。
「まぁ悪いと思ってんならすぐ消してね」
そう言って、それ以上彼女らの方は見なくなる祥太郎さん。
初めて会った時と同じ。
周りの目なんて気にせず、堂々と正しいことを言える彼。
誰にでもできることじゃない。
「…なに?」
祥太郎さんのことを見つめていると、頬杖をついている彼が首を傾げる。
きゅう、とまた胸が苦しくなって、首を振って俯いた。
想いが、じわじわと全身に広がり、体が熱くなっていく。
…やばい…私…
本気で、この人のことが好きかも…
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