ずるいです。

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「…なんかサナって毎回引き止めるよな」 「〜っ」 っだってあなたがすぐバイバイしようとするから…! 「…この後って、講義ですか…?」 「いや違う。この時間はいつもテニス」 そう言ってラケットケースを見せる祥太郎さん。 テニスするんだ… なにそれ、見たすぎる。 「サークルですか?それって…私も行ってもいいやつですか?」 「サークル。別に誰でも来て大丈夫だと思うけど。サナ、テニスできんの?」 「できません」 「じゃぁなんで来るんだよ」 ふっとおかしそうに笑う祥太郎さん。 あなたとまだ一緒にいたいし、テニスする姿が見たいからに決まってるでしょ! とは、彼には簡単に言えない。 完全にガチ恋。 「…ちょっと興味あって」 「ふーん。じゃぁ来れば?」 「その前にお手洗いに…」 「はいはい。ここで待ってる」 そう言って近くのベンチに腰掛けるから、慌ててトイレに駆け込んだ。
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