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だけど別に用を足したいわけではまったくなくて。
食事をした後は歯に何か挟まってないか気になるし、口紅も塗り直したいし、服も汚れていないか確認したい。
それらをいつもの習慣でパパっと済ませると急いで祥太郎さんの元へと戻った。
相変わらず携帯をいじるわけでもなく、ただ座っていただけの彼はすぐに私に気がついて立ち上がる。
「終わった?」
「はいっ、待たせてすいません」
「なんか、大変だな」
「え?」
「常に自分が周りにどう見られてるか気にしてるって感じ」
「………」
図星。
その通りだけど、そんなドストレートに言われるとなんだか居た堪れない。
…馬鹿みたいだって思ってるのかな。
でも人に見られる仕事だし、常に可愛くいたいし、ていうか好きな人の前だし…
ちらっと斜め後ろから彼の顔を見ると、至って普通の顔。
おそらく今の発言に特に他意はない。
(あぁぁぁ調子狂ううぅ…っ)
可愛くしようとすればするほど、彼には逆効果にすら思えてくる。
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