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悶々と考え込んでいるとすぐに目的地に着いたようで、祥太郎さんが「うーす」とそこにいた友人たちに声をかけている。
「おー祥太郎おつー…って?!“sana”?!」
「うわ、まじ?本物だ」
「え、ほっそ。顔ちっさ…可愛すぎ…」
そうそう…これが普通の反応。
再び自信を取り戻し、「お邪魔します」と控えめな笑顔でにこりと笑って見せる。
ぽやん、と目がハートになる男の子たち。
…しかし。
紹介してくれるのかと思えばスタスタとどこかに行こうとする祥太郎さん。
っ、ちょっと?!
私置いてどこ行くの?!
sana連れ歩いてる俺、ドヤ。みたいなやつはないの?!
笑顔が引き攣りそうになっていると、代わりに彼の友人が引き止めてくれる。
「なんでお前がsanaちゃんと一緒にいんの?!」
「なんでって…一緒に飯食った後サナがここ来たいって言うから」
「一緒に飯食った?!は?!なんで?!つーかsanaちゃんを学食なんていう小汚ねぇところに連れて行ったんじゃねぇだろうな!」
「別に学食は小汚くねぇだろ」
そんな会話をしている。
質問攻めにあってだるそうにしている祥太郎さんを見て、慌ててフォローに入る。
こいつと一緒にいると周りが面倒だと思われたら困る…っ
「私が学食に行きたいって言ったんですっ…行ったことなかったので…」
「そんなの、こいつじゃなくても俺らが案内するのに…」
いや、あなたたちはお呼びでないです。
なんて性格の悪いことは言わないでおく。
「じゃぁ…代わりにサークルのこと、教えてもらってもいいですか?」
眉を下げて、遠慮がちに。
子犬を連想させるようないじらしさで、彼らを見上げる。
キュン!と心臓に矢が刺さったのを見届けて、甘えるように微笑んだ。
「も、もちろん…」
「はぁ…可愛い…」
「まじでうちのサークル入って…」
よし。出だしは好調。
このまま、強引に勧誘されて仕方なく、という形でサークルに居座るのがベスト。
祥太郎さんにストーカーみたいに思われたくないし…
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