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だけど早く付き合えと言われましても、祥太郎さんがまったく私に気がないのだからどうしようもない。
頼むから、何か策をくれ春野彼方…
そう思ってしまうほど、彼相手にどう立ち回ればいいのか分からなかった。
そして何も進展はないまま飲み会はお開きになり、それぞれが家路についていく。
「sanaちゃん歩き?危ないし送ってくよ!」
「待て!俺が先に声かけようと思ってたの!」
「いや俺が先!」
「いやいや俺が!」
なんだかプチ争いが起きていて苦笑い。
悪い気にさせないように、やんわりと断りを入れる。
「ありがとうございます。でもこういう時はタクシーで帰れってマネージャーがうるさいので…送っていただかなくて大丈夫ですよ」
「あ、そうなの?」
「ちょっと残念…」
「マネージャーとかいるんだ…さすがだなぁ」
そういうことなら、とあっさり引いてくれた皆さん。
最後に一緒に写真を撮って解散し、手を振って別れる。
タクシーを捕まえるため大通りに向かって歩きながら、ふぅ…と重いため息が出た。
時計を見ると、22時すぎ。
帰って少し編集して、明日の衣装用意して…
あー、グッズの確認のメールも来てたっけ…
仕事を後回しにして遊びに出たツケが完全に回ってきている。
祥太郎さんもさっさと帰ったっぽいし……なんか本当、来た意味あったのかなぁ…
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