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肩を落として、トボトボと歩く。
だけど大通りが見えてきたところで、後ろから小走りで誰かが近づいてくる音が聞こえた。
「やっぱサナじゃん」
「っ!」
バッと勢いよく振り返ると、彼が「、うお」と驚いている。
「っ祥太郎さん…?!」
「なんでそんなに驚いてんの」
「だって、帰ったんだと…」
「すぐ横のコンビニ行ってた」
そう言ってビニール袋を持ち上げる彼。
カップ麺とかお菓子とかアイスとか…いろいろ入ってる。
「1人で帰んの?家どこ、送る」
「え…っ」
思わぬ展開に、胸が躍る。
「歩き?」と聞かれ、タクシーで帰るという言葉はあっという間に抹消された。
「…歩き、です」
「ん。じゃ行こ」
「…いいんですか?お家、遠回りになりませんか?」
「いーよ。歩くの嫌いじゃないから」
そう言って、バリッとアイスの袋を開けている。
ソーダ味の、定番の棒アイス。
「…本当に、よく食べますね」
「よく言われる」
「さっき居酒屋であんなに食べてたのに…」
「あれは全部出た」
「っえ?!」
私にとっては信じられない言葉が聞こえて、大きな声が出る。
そんな私を見て祥太郎さんが笑った。
「サナは、あんまり飲み会とか行ってなさそうだもんな」
「むしろ大学の人と行ったのは初めてくらいです…」
「へぇ。なんで今まで行かなかったん?」
そう聞かれて、少し答えるのを躊躇う。
急な沈黙に首を傾げている祥太郎さん。
普段はこんな話重い気がして言わないけど、彼には言ってもいいと思った。
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