ずるいです。

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落ち込んで静かになった私に、話は終わったと判断したらしい祥太郎さん。 「もういい?」 「はい…」 「じゃぁな」 そう言って今度こそ帰っていく。 その背中を、焦げるようにじっと見つめた。 まだ一緒にいたいけど、これ以上引き止めるわけにはいかない。 ちょっとお茶でも…なんて言葉で、こんな時間に女の子の家に上がるような人じゃないのはもう分かる。 何も策がなくて、諦めるしかないとマンションに向き直ろうとした時。 不意に彼が、振り返った。     「おやすみ、伊都」 ───!! 暗くてよく顔は見えなかったけど、確かにそう聞こえた。 それだけ言うとすぐにまた背を向けてスタスタと帰っていく祥太郎さん。 「〜〜っっ」 遅れて、ぶわわっと顔が赤くなって唇が震えた。 胸がキュンキュンして苦しい。 もう、なに、ほんとに。 〜っこの天然人たらしめ…!!
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