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講義室の1番後ろに腰掛け、上がった息を整える。
その隣に、平然とした顔で腰掛けるメンタル強者。
「祥太郎さん…」
「なに」
「…あの、呼んでくださいって言ったの私なので大変恐縮なんですが…ああいう場で名前を呼ぶのは…」
「じゃぁいつ呼ぶんだよ」
「ふ、ふたりのときだけ…?」
「なんだそれややこしいな」
そう吐き捨てて眉間に皺を寄せる祥太郎さん。
あぁっ、めんどくさくなってる…!
「っ嘘ですいいです伊都で…!」
「どっちだよ」
「…やっぱりいつでも伊都って呼んでください…」
「ふーん、分かった」
なんとかサナ呼びに逆戻りは回避できて、ほーっと安堵の息をつく。
そして気になるのは、さっきのメンヘラ男のこと。
「…あの人、大丈夫ですかね…。これから毎回待ち伏せされたりとか…」
「平気だろ。周りで動画撮ってるやついたし、晒されて、勝手に世間が叩いてくれるわ」
動画撮ってる人いたんだ…
そういうとこ、意外に見てるんだなぁ。
さっきまであんなに怖かったのに、祥太郎さんと一緒にいるともう全然平気だった。
…この人の肝が座りすぎてるからかも…
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