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「いい匂い。すげぇうまそう。食べてい?」
「あっ、ちょっと待ってください…!」
そういえばと思い出して、慌ててキッチンからあるものを取ってくる。
動画撮影で使って残っていたそれ。
不格好だけどフレンチトーストに刺し、ちょっと嫌だけど元カレが置いて行ったライターを使って火をつける。
「…ろうそく?」
「はい!誕生日ですからっ!」
張り切ってそう言って、カーテンを閉めて電気を消すと、雨だから外も暗いおかげで、誕生日らしい雰囲気が出来上がった。
「ハッピバースデートゥーユー♪」
「…歌うんだ」
そんな突っ込みは無視して1人で全部歌い切ると、「おめでとうございまーす!」と拍手して、ろうそくを消すように促す。
ふっ、と祥太郎さんが火を消して部屋が暗くなった。
拍手しながらカーテンを開けて電気をつけると、なぜかじーっと火が消えたろうそくを見つめている祥太郎さん。
「?どうしました?」
「…いや、久しぶりにしたなーと思って」
「そうなんですか?」
「小1くらいからやってない」
小1から…?!そんなに前…?
少し驚いていると、祥太郎さんはなんてことない様子で言葉を続ける。
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