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振り返った彼は、また私がいるのを見て、呆れたように言った。
「何なんだよ、お前」
そう、表情を崩して、ふはっと無邪気に笑う。
さっきまでの態度と、その表情のギャップに、思い切り胸を掴まれた。
……あ…やばい…何これ…
胸を押さえると、私のそんな仕草に首を傾げる彼。
それすらもキュン要素になってしまう。
「あ、あの…」
「だから、何?って」
「お名前は…」
「名前?」
彼が不思議そうに片目を細める。
大学でも、コメント欄でも、みんな私に認知されたくて必死なのに、彼にそんな様子は全くなかった。
「祥太郎」
それだけ言って、「学食混むからじゃぁな」と今度こそ行ってしまった。
しばらくその場から動けない私。
まだ、ドキドキと胸が鳴ってる。
祥太郎さん…
はあぁ…っとピンクのため息が溢れた。
完全に、恋に落ちた。
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