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結果的に、それは運命の日となった。人々の希望と羨望を受けて、ぼくは飛び立つ。
誰も追い付けない、誰も届かない彼方を目指して。
いってらしゃい! いってらしゃい!
どうか良い旅を! 神のご加護を!
そう言ってもらえて嬉しかった、誇らしかった。ぼくという存在が、彼等の期待に応え得るのだと歓喜した。
そうして飛び立ち、虚空へ飛び込む。なんという、なんという星々の渦……!
遠ざかる月を尻目に、燃える様な星を、煙で出来た星を、巨大な輪っかを持て余す星を見て来た。
──どうだろう。見えるかな? エコー、エコー、エコー。
この素晴らしい景色を共有したい、ぼくに芽生える感動を分かち合いたい。地球のみんなに、姿形の違う同胞に確かめたい。
これは素晴らしい景色ですか? この旅は、きっと有意義なものですか?
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