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合コン
予約の時間と名前を伝えるとすぐに案内された。合コン相手はまだ来ていない。
座敷席で横一列に座る。俺は一番右。
目の前に置かれたおしぼりを確認する。これで合図を送るんだよな。
俺は年上美人に期待しすぎてソワソワと落ち着かない。横に目を向けると、兄貴たちは場数を踏んでいるのか慣れた様子で寛いでいる。
「ねぇ、まだかな? 年上美人!」
「今が予約の十分前だから、もうすぐ来ると思うよ」
時計を確認して秀明さんが優しく教えてくれる。
程なくして個室の襖が開いた。こんばんは、と笑顔で会釈をして、テーブルを挟んで俺たちの正面に四人が座る。四人ともタイプは違えど、めちゃくちゃ顔がいい。全員ネコってことでいいんだよな。
おしぼりを掴んで手を拭う。出されたように細長く丸めた。俺は目の前に座る優しそうな美人に目が釘付けになる。俺の視線に気付き、小さく首を傾けて口の端を広げて微笑みかけてくれた。
おしぼりを横にして置く。横目で兄貴たちのおしぼりを確認すると、全員向きが違っていた。協力して楽しく合コンができそうだ。
ドリンクを注文して、運ばれてくる前に自己紹介をする。兄貴たちが名乗り、タチ側の最後は俺。
「初めまして、遠藤久志です。……大学一年生です。よろしくお願いします」
大学一年生と言えば、相手側が目を見張る。
「あっ、ごめんね。本当は別のやつが来る予定だったんだけど、その……体調悪くしちゃって。急遽俺の弟連れてきた。一年生だから飲ませないでね」
兄貴は彼氏ができたから来れなかったとは言えなかったようだ。それならば、と相手側は納得してくれて、自己紹介を続けてくれる。
最後は俺の正面に座る美人だ。
「白石深月です。よろしくね」
心地よい声に優しい笑顔。今日は絶対に深月さんをお持ち帰りしよう。
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