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1 再会
「そろそろ帰ろうかなあ、雅そこまで送ってよ。」
臭い香水、さほど似合ってもない厚い化粧。
こういう女が周りに何人いるか分からない。
求められたら返すだけの関係を築いて、気付いたらこうなってたみたいな。
「えー、帰んの?もう少し飲んでいきなよ」
そう言って少しでも居させて金を落とさせようと、メニュー表を渡す。
友人のバーで雇われている俺は、黒崎 雅。28歳。
自分で言うのもなんだがそこそこ顔面とノリは良い方なのでそれなりに女からモテる。
「じゃあ1杯だけね、これ飲んだらタクシー呼んで」
「ん、わかった。何にする?」
そんな会話をしながら後ろの棚に置いてある酒を選びながら声を掛ける。
俺を雇ってくれている友人の玲と目が合うと、また呆れたような顔をされた。
そんな顔をしながらもクビにしないんだから、多少なりとも俺のこの接客スタイルを受けいれつつはあると思う。
友人の名前は相原 玲。
大学時代同じ学部で友人になってから、関係はずっと続いていた。
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