完璧過ぎる彼の、裏の顔

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ブレザーを羽織っていながらも綺麗な骨格が映える背中を見つめる。どこを切り取っても絵になる姿は、羨ましい。 「今度のテスト、範囲広そうだね。勉強大変かも」 「ふふ。でも香椎くんは涼しい顔して一番を取るんでしょう?」 「俺から見たら、それは菫さんも一緒だけれどね」 なんてことない、日常の会話。香椎くんの取り零す音を何一つ見逃さないように、耳に入れていく。そんな意識を、している。 「はい。良かったらこのマドレーヌも」 「嬉しい。美味しそうだね」 「昨日俺が作ってみたんだ。感想を教えて?」 「香椎くんお菓子作りもできるんだね。本当、すごいなぁ」 マドレーヌを一口齧り、紅茶も啜る。どこの高級なアフタヌーンティーより、よっぽど価値のある時間だ。 「なんだかお腹が満たされたから眠くなって来ちゃった」 「暗くなる前には起こすよ。菫さん、最近仕事量多いでしょ?だからきっと、疲れてるんだよ」 「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。17時くらいに声かけて欲しい」 「わかった。おやすみなさい、菫さん」 温かい紅茶と甘いお菓子で糖分を摂取した反動がきたかのように眠くなる。このまま帰るのも勿体ないので、少しの間瞳を閉じることにした。
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