クールな彼女

8/14
前へ
/316ページ
次へ
「ねぇ。なんでアイツらに連れて行かれそうになってたの?」 「……パパが借金してて、ずっと前にどこか行っちゃった」 「なるほど。それで、ママは?」 「ママは、病気」 「……」 「ずっと入院してたんだけど、お金払えなくて、おうち帰ってきた。でもおうちにはさっきの人達がくるし、家賃も払えなくて、出てってくれって言われてる」 「……他に家族は?」 「いない。きっとママもこのままだといなくなる」 「いなくなる?」 「死んじゃうの。ずっと寝たっきりでゴホゴホしてる」   私の質問に答える女の子は冷静で、子供らしからぬ態度だ。 つまり、父親が借金を作って蒸発。母親がこの子を育てていたけれど重い病気になり、お金もないし、借金とりに追われるし、助けてくれる身内もいない。そこでさっきの連中は女の子を連れて行き、恐らく身体を捌いて金にするつもりだったのだろう。身の毛もよだつ話だ。 だからといって、私に何が―― 「いくら?」 「……へ?」 「借金。いくらあるの」 急に私達の間に入ってきたのは、ずっと静かだったレイだ。キョトンと目を丸くしながら見上げれば、レイの双眸は女の子に向いている。 だけど女の子は詳しいことは分からないのか、ふるふると首を横に振った。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加