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「よかったんですか、あんな大金……っていうかさすがに見ず知らずの女の子にあそこまで世話を焼く必要が、」
「中途半端な優しさが残酷なこともある」
「……え?」
「例えば今私があの連中を追い払ったとしても、また追われる毎日が始まる。助かったと安堵した直後の絶望が一番苦しいんだよ」
「……」
「中途半端に優しくするくらいだったら初めから見捨てた方がいい」
レイは淡々と告げると、くるりと踵を返して歩きだす。急いでその後ろを追いかけながらも、怒らせてしまっただろうか…と不安を覚えた。
だって私が余計なお世話を焼いたせいで、レイの手を煩わせてしまった。
「……私ってダメですよね」
「急にネガティブになるのやめてくれる?」
「だって裏社会で生きてるくせに愚図だし」
「誰もクズなんて言ってないよ」
「クズじゃなくて愚図って言ったんです」
「……」
「今だって結局レイにあんな大金を払わせてしまって…」
「もしかしたら詐欺かもしれないしね」
「えっ、詐欺!?今のが!?」
「その可能性もあるってこと」
「え、うそでしょ!?」
「まぁ、詐欺でもいいんじゃない」
「え」
「本当か嘘かなんてどうでもいいよ」
「……」
あまりにも平然としているので、衝撃的過ぎて言葉を失くす。いや、どうでもいいってあんた……あんな大金渡しといて?
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