クールな彼女

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「怖くないです」 ぽつりと呟くと、レイが私を見る。 「私には、あなたはとても優しい人に見える」 そして前を見据えたままその想いを伝えると、突如、隣りからレイの姿が消えた。 不思議に思いながら振り向けば、歩くのをやめたレイは私を見つめている。いきなりどうしたのだろう。 「レイ?」 「なんか……ヤエって変だね」 「いきなりなんなんですか」 「すっごく変だよ」 「そう言われて喜ぶとでも……え?今笑いました?」 「ん?」 「…っ!」 口では失礼なのに、なぜだかレイはその顔に笑みを浮かべている。それは初めてレイの表情が変わった瞬間でもあり、初めて笑顔を見せた瞬間でもあった。 それはまるで、ふわりと花が綻ぶような。あまりの可憐さに心臓がバクバクと脈打った。 「優しいかどうかは分からないけど、これから先、ヤエは私が守るよ」 「はうっ、」 「え。大丈夫?顔真っ赤だけど」 「だ、だって…守るよなんて初めて言われたから…」 「……もしかしてヤエは女が好きなの?」 「うぅ…レイが綺麗過ぎるんですもん」 両頬を隠すようにして俯くと、レイが覗き込んでくる。至近距離で見る綺麗な面立ちにくらりと眩暈がした。 「これからよろしくね、ヤエ」 「あ、はい…こちらこそよろしくお願いします」 果たして私はこの美女と一つ屋根の下で過ごす刺激に耐えられるのだろうか…。 そんな不安を抱えながらも、差し出されたレイの手を握り返した。
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