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学校へ行こう
ちらりと時計を見て、もうそろそろか…と溜息を吐く。重い腰を上げて、ベッドの上に大の字になって寝ているヤエの寝顔を覗き込んだ。
「もしもーし。ヤエさーん。起きてくださーい」
少しだけ大きな声を掛けるけれど、ヤエは間抜けヅラのまま爆睡し続ける。よくもまぁこれだけ近い距離で呼ばれているのに身じろぎもしないものだ。
「ああ、ダメ…レイ、ダメです…もう入りません…」
「しかもなんの夢を見てんの」
へらりと笑いながら寝言を呟くヤエに、ひくりと頬が引きつる。
なんだか不快なので、ここは容赦なくお腹に手刀を叩き込んで起こすことにする。
「……ガフゥッ!!!」
「おはよう、ヤエ」
「はっ、うぐ……お、おはようございます」
我ながら容赦のない一撃に飛び起きたヤエは、お腹を押さえて息も絶え絶えに挨拶をする。
「さっきから目覚まし時計十個鳴ってたのに起きないから実力行使に出ることにした」
「え。またですか?」
「それ私の台詞ね。いい加減目覚まし鳴るたびに壁に向かってぶん投げるのやめてよ。お陰でここに来てから何十個も買い換えてるんだけど。経費の無駄」
「へへっ。でもレイが起こしてくれて良かったです。レイが私の鼻にバナナを無理やり突っ込んでくる夢を見ていたので…」
「それでなんであんなに嬉しそうだったの?」
あの気色悪い寝言の理由は分かったものの、分かったら分かったで更に気色悪い。
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