学校へ行こう

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『椿原学園高等学校』 校門横に飾られている立派な銘板は、それだけでなかなかの風格を感じさせる。更に奥には、信じられないほどに壮大な校舎が佇んでいた。 「ただの学校だろうって侮ってたけど、もしかしたら本当にDahliaとなにかしら接点があるかもね。これだけ広くて、尚且つ街の中心に位置しているのも引っかかるし」 「考え過ぎじゃないですか?」 「……あのね、もうちょっと真剣に」 「まぁいいじゃないですか。ほらほら行きましょう!」 私の腕を掴んで歩きだすヤエの頭の中は、もはや生まれて初めて通う高校に対する期待と興奮でいっぱいみたいだ。 職員室について転校生だと告げると、中から若い男性が出てきた。彼は私達を前にして早々に不躾な眼差しを向けてくる。今時おかっぱ頭とおさげかよ、とでも言いたげに。 「転校生の田中さんだよね?僕は二人の担任の山根です。二人とも双子……なんだっけ?」 「はい。私が姉で、こっちが妹です」 「身長差すごいね。双子ってそんなに身長変わるものなの?」 「私は牛乳が大好きなんですけど妹は嫌いなんです」 「あ、うん……じゃあ、あの、教室に案内するよ」 いやそんなんでそこまで変わるもんなの?的な表情を浮かべながらも山根は歩きだす。 まぁでも、私も双子の設定は無理があるんじゃないかと思ってはいる。 同じ時期に転校生というのは不自然だということで双子だという体で通うことになったのだけど、似ているポイントというのが、今私とヤエがかけているレンズの分厚い眼鏡のみ。もしこの眼鏡が何らかの拍子で落ちてしまうと、双子じゃないなんて一発で分かってしまう。 しかし姉妹であり、編入ということも考慮して同じ組にしてもらえたので、バレるわけにはいかないのだ。
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