クールな彼女

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私が話す"今回の任務"とは、かなり衝撃的なもの。その内容は組織内でも極僅かのメンバーしか把握していないほどの、極秘の案件でもあった。 それは、"対立する組織を消す"というもの。 レイと私がいる組織の名は、Roar(ロア)。 Roarは所謂"何でも屋"だ。 簡単な任務から盗みやハッキング、一番難易度の高い暗殺など。様々な依頼が常に舞い込んでくる。 どんな任務も依頼されれば必ず遂行する。そしてその成功率はほぼ百パーセント――そう言わしめるほどの実力と実績が有り、裏の世界ではその名を知らぬ者がいないほどの巨大勢力。 そして驚くべきことに、レイは史上最年少にしてRoarのトップに立ち続けている存在だった。 組織内は『任務を遂行する人間』と、『裏で情報を操作して任務をサポートする人間』のふたつに分かれている。 レイは任務を遂行する者。私は情報を操る者。 そのレイから今回の任務に共に来て欲しいと告げられたのが、なぜだか私だった。 ここに来るまでずっと、どうして自分が彼女に選ばれたのか見当もつかずにただただ困惑していた。 レイが任される任務には必ずベテランの情報の人間がつくようになっていて、特に今回のような大掛かりな仕事ならば尚更。 それなのに、いつも任される仕事は簡単なものばかりで、経験も浅く、頭も悪くて、誰がどう見てもドジで、なんで裏社会にいるのかと不思議がられるような私が駆り出されるなんて。自分でも疑問に思うのは当然だった。
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