クールな彼女

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レイは私の質問に答えようとせず、ただただ射抜くような眼差しを向けてくるだけ。その視線に居た堪れなくなり、「あの」と口を開いた。 「すみません。余計なことを聞きました。忘れてください」 小さな声でそう告げて、身を縮こませる。 別に私が向けた疑問はおかしくはなかったと思うけれど、彼女に見つめられるだけで胸がそわそわして、落ちつかなくて、とりあえずレイの視界から消えたかった。 それは、レイの面立ちのせいだ。 噂には聞いていたものの、改めて間近で見る彼女の美貌は息を飲むほどに洗練されていた。 滑らかな肌はどこまでも白く、放つ空気にさえ透明感がある。くっきりとした二重瞼に、大きな目。その色素の薄いブラウンの瞳に見つめられたら女の私でさえ胸が高鳴ってしまう。 なによりモデル体型のような百七十センチのすらりとした長身は、背の低い私からすれば凄まじく迫力のあるものだった。 「……怖い?」 すると、ずっと口を閉じていたレイがぽつりと呟いた。 「え?」 「怖い?」 ちゃんと聞き取れなくて聞き返せば、今度ははっきりと耳に届いた。しかしその意味はまったく分からない。 だって私の質問に対しての答えになっていない。っていうか主語が抜けすぎて伝わるわけがない。……なんて生意気なことは言えずに、レイを見つめたままぱちぱちと目を瞬く。
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