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百貨店から車で5分ほど走った住宅街にひっそりと「カフェ・ラナチュール」はあった。
赤いテントが印象的なそこは、とてもオシャレだった。
ガラス張りの玄関扉を開ける。
そこは観葉植物や可愛らしい小物を間接照明が優しく照らす、落ち着いた空間。
5人ほど座れるカウンター席と4人掛けのボックス席が3つあるこじんまりとした店内。
夕食のピークが過ぎ去った今の時間に、お客さんの姿は見当たらなかった。
「いらっしゃい!おう、凪坊じゃねぇか。うちに顔見せずに何してたんだよ」
カウンターの中から声が掛かる。
オレンジのエプロンを着た恰幅のいい40歳位の男の人だった。
「田口さん。しばらく来れてなくてすみません」
凪さんが軽く会釈しながら言うと
「忙しかったんだろ?凪坊が来ないとどうも調子がでなくて困る」
がははは!!と豪快に笑う。
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