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黙々と食べ進めた私だけれど、あと少しが食べられない。
別に小食というわけではないと思う。
どうやらしばらく寝込んでいた間に私の胃は縮小したようだった。
『食べ物を無駄にしちゃいけないよ』
ジーと眺めて無くなるものでもないとわかりつつ、それでも睨めっこを続けていると
ひょいと横から伸びてきた手にスプーンを奪われて残りを全て平らげてしまった。
「うまいな」
凪さんは口元についたケチャップをペロリと舐めとり
「帰るぞ」
立ち上がってスタスタと歩き出す。
「おっさんごちそーさん!またな!」
「おう!また食いに来いよ!凪坊も無理せずにな」
そう声を掛けた田口さんを振り返るでもなく、凪さんは軽く右手を上げて応える。
「あの、美味しかったです!ごちそうさまでした」
ガラス扉の前でお辞儀をすると田口さんは一瞬びっくりした顔をしたあと、目がなくなるぐらいにっこり笑ってくれた。
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