カフェ

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もがくでもなく苦しむでもない。 ただ死を甘んじて受け入れるその姿は、痛々しくもあり美しくもあった。 ー・・このまま海に還すのは勿体無い。 この少女の身に何があったのか俺には知る由もないが、世の中というものをほとんど知らないまま死ぬのは惜しすぎる。 人生に絶望するにはまだ若すぎる。 だから引っ張り上げて新しい人生を歩めと伝えると、限界だったのか意識を失ってしまった。 病院か警察へと思ったが、一旦家で着替えさせた時に全身に傷や打撲があり、今連れて行くのは適切ではないと判断した。 足の傷が酷かったので手当てをし、腹の打撲には湿布を貼っておいた。 ー・・起きて来たら事情を聞こう。 その日は結局ソファーで眠った、と言っても数時間の仮眠だが。
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